専門学校入学者のうち、大学や短大を卒業した人、あるいは大学や短大を卒業後に社会人経験がある人は、令和4年度の文部科学省の学校基本調査によると約13,600千人、専門課程の入学者約252,400人の5.4%を占めています。一方、東専各協会調査研究事業部の調べによると、令和4年4月都内専門学校入学者に占める大卒者等の割合は、夜間部では5割を超えています。大卒者等が専門学校に再入学をする理由は「就職のため」が最も多く、そのほとんどが「資格取得」や「専門的な技術や知識の修得」を目的としています。大卒者の就職状況は近年好調ですが、年齢に関わらず、就職に向けて実践力を身に付けるための学びの場所として専門学校が注目されていることは間違いありません。
令和3年3月に全国の大学を卒業した約59万人のうち、「無期雇用」いわゆる正規の職員として就職した人は約70.9%。一方で、「有期雇用」の非正規やアルバイト、あるいは就職や進学の準備中など、不安定な状況にある人を合わせると15%になります。なかでも見逃せないのは、「進学、就職いずれの準備もしていない」いわゆるニート状態の人が4.7%(約2万8千人)いるという事実です。大学4年間の過ごし方、あるいは高校卒業時点での選択の是非が問われることにもなりそうです。
都内の専門学校に在籍する「大卒等入学者」たちを対象に行った東専各協会のアンケート調査によると、「専門学校に入学した理由」では、「資格取得や検定合格のため」「転職や再就職のため」「勉強したいことが大学ではできなかった」が上位に並んでいます。また、「大学に進学した理由」については半数以上が「大学で勉強したいことがあった」と答えているものの、「やりたいことがなかったのでとりあえず」や「なんとなく」といった消極的な理由を上げた人も2割ほどいました。
いま、高校生の進路選択において、「何をやりたいのかわからない」という生徒には「とりあえず」大学進学を勧めるという指導が少なからず見られます。大学全入時代といわれる中で、「大卒」の肩書きが卒業後の就職を約束してくれるわけではありません。意欲や目的意識が希薄なまま大学に進学しても4年間で得られる成果は少なく、かえって就職活動を難しくしかねないのです。
大学と専門学校相互の編入措置も弾力化されていますから、途中での進路変更も念頭に置きつつ、明確な目標がない生徒に対しては「大学か専門学校か」という選択とともに、「大学も専門学校も」というキャリアプランを視野に入れてみるのも一考です。