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子供を信じる親と専門学校の存在

関戸まゆみさんの現在32歳になる息子さんは、自動車系専門学校卒業後、ホンダグループ傘下の企業に就職し、自動車開発に携わっている。
F1マシンの開発にも参加するなど華々しいキャリアを築く息子さんを、まゆみさんは親としてどう育て導いたのか。専門学校入学前後の話を中心に伺った。

子どもの「好き」を信じよう

関戸 まゆみさん写真

娘と息子が一人ずついますが、姉弟でもまったく性格が違います。娘は本好きな理論型、一方息子は直感型で、小さな頃から好きなことにはとことん打ち込むけれど、嫌いなことは見向きもしない性格でした。絶対にやらなければいけない宿題があっても、先生に怒られるのを覚悟で手をつけない。苦手意識のある英語は教科書も開かない。逆に好きな数学には一生懸命。だから中学、高校の成績は、良い科目とそうでないものに極端な差がありました。もちろん私も幅広く勉強させようと、あれこれと試行錯誤したつもり。でも敵はなかなか手強くて(笑)、頑として受けつけないんですね。そのうち、これがこの子の個性なんだと認めるようになりました。

ですから、進路を決めるときも、本人の中では「大学」という選択肢は初めからなかったようです。(苦手な)英語が受験科目に入っている大学が大半でしたからね。私自身は大学に進学せずに望む仕事に就けるのかという心配はありました。でも親として本人の性格を知り抜いていたので、いま説得しても無理だと分かっていました。専門学校を卒業してから大学に行く道もあるから、いまは彼に任せよう。そう思っていました。

信じることと祈ること

関戸 まゆみさん写真

振り返ってみると、息子の進路選択について、親の私は見守るだけでした。私達が若い頃とは、学校も仕事のあり方も大きく様変わりしていましたから、親世代の価値観に基づいても有効なアドバイスができるはずもありません。ただ、早いうちから息子が車という、仕事にしたいほど好きなものを見つける幸運をつかんだのは、のびのびと過ごせる環境づくりを心がけていたせいかもしれません。有志で活動し、泥んこになって走り回れる遊び場をつくり、親子で楽しい時間を過ごしました。高校進学後、元気のない息子に原付免許取得を進めたりもしました(笑)。本人がイキイキとできることにそっと力を貸すこと、そして子どもを信じ、祈ることが、親の役割ではないかといま感じています。

関戸 まゆみさん

関戸 まゆみさんプロフィール

東京都新宿区在住。息子の健太さんは都立千歳丘高校を経て自動車系専門学校に進学し2001年卒業。
現在開発職につき活躍している。まゆみさん自身はライフワークとしてNPO法人日本冒険遊び場づくり協会の活動に長年参加。