専門学校や大学の新規卒業者の就職率は景気の動向に左右されながら変動を繰り返してきました(下のグラフ参照)。とくに大学卒の就職率は平成10年代前半の「就職氷河期」による低迷や「リーマンショック」による平成22年の急激な落ち込みなどがあり、ここ20年間の推移を見ても最大で20ポイント以上の上下動が見られます。それに比べると専門学校の就職率は安定して80%前後を維持し続けています。コロナ禍で業種によって採用状況の明暗が分かれるなどの影響も出ていますが、社会に欠かせない職種の人材を養成している専門学校には、常に一定の求人が寄せられています。
令和2年3月の専門学校卒業者の就職率は79.4%でした。大卒者の就職率も構造的な労働力不足を背景に上昇が続き78.7%に。専門学校との差は0.7ポイントに縮まりました。専門学校生の就職率は平成28年以降、わずかずつ低下していますが、これは専門学校の教育内容の多様化とともに、上級課程への進学や就職以外の働き方など、進路の選択肢が増えていることも一因と考えられます。大学生の場合、大学で学んだ学問分野とは関連のない仕事に就くことは珍しくありませんが、専門学校生の就職においては学んだ分野との関連性が重要です。就職者のうち、専門分野に関連した職種への就職率(下のグラフ参照)は全体でも90%を優に超えていて、とくに資格取得を前提とした学科が多い医療関係、衛生関係、教育・社会福祉関係などでは就職者のほとんどが資格を活かした仕事に就いています。半面、教育内容が多岐にわたる文化・教養関係では正規職の求人が少ない業界に関わる学科もあり他分野に比べると就職率も低めですが、就職者の8割以上は関連職種への就職を果たしています。